農業をテーマにしたホームページを開設するにあたって、
まず「農」という字について調べることにしました。
大学時代から都市と地域について、とりわけ地域産業である「農業」に興味をもって
研究してきましたが、その漢字そのものについて調べたことはありませんでした。
漢字の成り立ち
「農」という字は縄文時代から農業がおこなわれてきた日本には珍しく
大和言葉がありません。
空(くう・そら)、水(すい・みず)のように中国風の読み(音読み)と日本風の読み(訓読み)が
あるものが多い中「農」は「のう・の・どう」という中国風の読みしかないのです。
上図は、農という字のもととなった甲骨文字です。
上半分は大地を覆う木を表し、下半分は2枚貝がカラから足を出している様子を表しています。
石や貝製の農具で林を耕していたことに由来していると言われています。
つまり農とは道具を使って土地を拓き、土を耕すことを意味しています。
英語のAgriculture
また、英語であるAgricultureについても考えさせられるものがあります。
もともとはラテン語のAgriculturaないしAgricultioから来ている単語で、
Ager(土地)とcolo(耕す)が合わさり、「土地を耕す」という意味の言葉となっています。
AgricultureからAgri(土地)が切り離されるとCultureが残ります。
普通Cultureは「文化」という単語として使われ、このCultureだけを見れば農業というイメージは全くないと言えます。
したがってCultureに耕すという意味があり、現に今もその意味があることは忘れられるか等閑視されてしまいます。
農業の業はCulture、工業の業はIndustryということからも農業が人々の生活だけでなく
文化にも密接にかかわっていることがわかります。
岩手大学農学部出身で小説家、後年は農業指導に当たった宮澤賢治。
その立ち姿はどこか「農」のシルエットを感じさせます。
「下ノ畑ニ居リマス」
農と共に暮らす人々の象徴ともいえるでしょう。
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