2016年5月31日火曜日

野菜の分類~ナス科・ウリ科の仲間~


野菜は同じ場所に同じ野菜を植えると連作障害と言って

その野菜の生育を犯す病原菌や有害線虫が増加したり、

その野菜に必要な栄養素が土中に足りなくなったりします。


「違う野菜を植えればいいんでしょ?」という方もいるかもしれませんが、

同じ野菜だけでなく、同じ「科」であっても連作障害が出る場合があります。



野菜の科を知ることはとっても大切なんです。


連作障害が出やすい野菜は
エンドウ、スイカ、メロン、ナス、トマト、キュウリ、ゴボウ、サトイモ、ハクサイなど

出にくい野菜には
サツマイモ、カボチャ、コマツナ、タマネギなどがあります。



ナス科

双子葉植物網キク亜網ナス目の科の1つで115属、2678種からなる大きな群です。

ナスやトマト、ジャガイモなどが属するナス属、トウガラシやピーマンなどが属するトウガラシ属、タバコなどが属するタバコ属、ホオズキなどが属するホオズキ属、ペチュニアなどが属するペチュニア属などが知られています。
多くは一年草もしくは多年草、低木の木本があります。

ナスやトマト、トウガラシ、ピーマンなど果実を食用にする種が多く、他にジャガイモのように塊茎を食用とするもの、タバコのように嗜好品として栽培されるもの、ホオズキやペチュニアなど観賞用に栽培されるものなど、利用の幅は広くなっています。

また、一般に特有のアルカロイドを含むために多様な生理作用を持ちます。
これらは薬用や香辛料として用いられる場合もありますが、一般には強い刺激性や毒性を持ちます。
なお、食用とされる作物では品種改良により可食部にはアルカロイドが含まれませんが、ジャガイモの芽・茎(ソラニン)や未熟なトマト(トマチン)などのように非可食部は有毒である場合があります。





ナスの花です。
ナスの紫色が花にも出ていますね。
つぼみはとりわけ小さなナスのようです。


ピーマンの花です。
白い花の中に小さなピーマンが見えます。
よく見ると何の花なのかわかりますね。


トマトの花は鮮やかな黄色です。

萼がそのままへたになります。




ジャガイモの花です。

ナスの花に形が似ています。

昔は観賞用として愛されていた花のようです。



こちらはたばこの花です。

こんなにきれいな花が咲くんですね。



ナス科にはたくさんの植物が属しているので、花の形にもバリエーションがありますね。


ウリ科

ウリ科は、被子植物の科です。


殆どが巻きひげをもつ、つる性の草本からなります。
ウリ科の植物の多くは熱帯に分布し、人類の歴史上もっとも古い作物を含みます。
キュウリ、スイカ、カボチャ、ズッキーニ、ヒョウタン、ヘチマ、トウガン、テッポウユリ、ユウガオ、ニガウリ、ゴーヤー、メロンなど多くの種が、古くから果菜や果物として栽培されてきました。

また、ラカンカ、キカラスウリなど、果実や塊根を生薬として用いられる種もあります。
ククルビタシンは、ウリ科植物に特有のステロイドの一種であり、トリテルペンに属します。
キュウリ、メロン、スイカなどのへたに近い部分に含まれる苦み成分です。
特にニガウリやゴーヤーに多く含まれ、モモルデシチンと共に強烈な苦みの元になっています。



鮮やかで大ぶりな花が特徴なかぼちゃ。


かぼちゃの花に比べると小ぶりですが、鮮やかな黄色の花が咲く、メロン。
カボチャと葉もよく似ています。



カボチャやスイカとはまた違う葉や花の形をしているスイカ。
花びらが5枚というところは共通ですね。


キュウリの花や葉はカボチャに似ています。


上で見たナス科の植物は花の形や色に様々なバリエーションがありましたが、
それに比べてウリ科は類似性が高いのがわかります。




この後も様々な科の野菜について紹介して行きますね♪

2016年1月6日水曜日

岩手県の生産物 ~伝統野菜・一番生産されている生産物~









岩手県は海・山・川という自然が豊かで、昔ながらの伝統野菜も数多く残っている地域です。


戦後の食糧が豊かになった時代には、伝統野菜はあまり生産されず、米やじゃがいもなどの生産に移行していましたが、近年伝統野菜の魅力が見直され、生産が進められています。

需要がないと続かないのが現状で、現在も少ない戸数で細々と生産が続けられている伝統野菜がたくさんあります。

伝統野菜を知って、その野菜を購入して、農家さんが生産を続けられるような環境になればいいですね。

■岩手県の伝統野菜


・暮坪かぶ





岩手県遠野市、上郷町佐比内暮坪という集落に住む1戸の農家が代々育て上げてきたかぶで、この暮坪の土地でないと独特の辛みが出ません。

同じ種を使用しても風土の違いで異なる味になるのです。

天正年間(1573~1593年)に近江の薬売り、近江弥右衛門が持ち込み遠野地域での栽培が始まりました。漬物やそのまますりおろして薬味としてお使いいただけます。

蕎麦の薬味としての他、脂身の多いぶりなどのお刺身に乗せても美味しくいただけます。



・安家地大根



「安家」この「あっか」はアイヌ語のワッカに由来し、「清らかな水の流れるところ」という意味です。
地域に注ぐ安家川はダムがなくきれいな水が流れ、その名の通りの川であります。

その地域で栽培されている安家地大根は鮮やかな紅色で、肉質が固く繊維に富み、辛みが強く、現在多く栽培されている青首大根とは全く異なる個性派の大根です。

美しい赤と白のコントラストは縁起が良いとされます。
ビタミンCを青首大根の1.5~2.0倍含んでおり、硬くて水分が少ないので冬場の保存食材として重宝されていました。

加熱すると甘味がますので、てんぷらなどでも美味しくいただけます。

・曲がり葱


一関の特産品で柔らかさと独特の風味の良さが特徴の葱です。

畑で栽培中の葱を1度抜き取り、約30度の角度をつけて寝かせ、その上から土をかけます。
この「やとい」という作業を2回繰り返し、甘い葱に仕上がります。

手間暇かけて作られた曲がり葱はとろっと甘く、煮ても焼いても美味しく食べられます。


・橋野かぶ


釜石市で作られる橋野かぶは曲りかぶや昔かぶとも言われ歯触りの良さと酸味が特徴です。

彩りも美しい橋野かぶの漬物はとても人気があります。


・早池峰菜


遠野地域の伝統野菜で、早池峰山麓の山村の農家に密かに伝承されていた深緑色の丸葉をした葉野菜で、寒さや病気に強く、年3回収穫することが出来ます。

とても風味がよく、漬物や煮物にぴったりだそうです。また根っこの部分も甘く、使用しているレストランのシェフも、ぜひ切らないでほしい!と絶賛しているそうです。

この早池峰菜は遠野緑峰高校が問い合わせ先となっており、高校生の手によって普及活動が行われている野菜です。

地域の特産品を若い世代が発信していくというのはとても良いことですね。



・矢越かぶ


一関市の特産品で、品種改良でおいしいお米やいろいろな野菜、砂糖の普及で甘い食べ物が増えたことにより、いつしか忘れられ、戦後途絶えてしまった野菜の一つでした。

この矢越かぶは2006年一関市の農家・小野寺さんの手によって復活しました。
地元の名前が付いたかぶを村の特産品にしようと気仙沼市大島にある奥様のご実家から種を譲り受け、伝統野菜の継承に取り組んでいます。

日本のかぶは伝来によって、東洋系と西洋系に分かれますが、矢越かぶはヨーロッパやスウェーデンのかぶと同じ仲間とされています。

加熱すると美しい山吹色になり、温野菜のサラダやスープにおすすめです。
糖度が高く、砂糖が不足した時代には重宝されたことがわかります。

地元の伝統野菜が西洋の料理にぴったりなのは不思議ですが、ルーツをたどれば納得ですね。


・山ぶどう


山ぶどうは自然に恵まれた東北北部に多く自生している、日本古来の野生ぶどうです。

久慈地方では山野から採取される山ぶどうの果汁は、大変貴重なものとして活用されてきました。

自生している山ぶどうを挿し木で1本1本増やし、丹念に育てることで山ぶどうの栽培量を増やしています。

山の空気・水・土に育まれ、初夏には太平洋からの「やませ」によって熟成していきます。
9月下旬から10月にかけて旬を迎え、糖度を15%以上に高めて収穫される熟成した山ぶどうは非常に色の濃い果実となります。

ジュースやジャム、ワインなど様々な加工品として販売されています。




・琴畑かぶ


遠野で生産される琴畑かぶは、生産が途絶えていましたが、市の農家支援室指導の下、遠野緑峰高校の生徒の手によって2014年に復活しました。

琴畑かぶは色が鮮やかで大根のように細長い形をしており、葉も美味しくゆでて塩とオリーブオイルだけでも食べることが出来ます。

身もやわらかいので、サラダ風に生でも食べることが出来ます。

・地うり(昔きゅうり)



岩泉町で栽培される伝統野菜で、市販されているきゅうりより、太くて瑞々しいのが特徴です。

外側の皮は苦みがあるので、向いて食べるのが一般的。
地元では味噌をつけて食べられることが多いです。

岩手県の県北では現在も生産しているところがあり、道の駅などで販売されます。
漬物などに加工して販売している場合もあります。

・阿房宮(食用菊)


岩手の県北久慈市で作られている食用菊阿房宮。

抜群の香りと甘みを持ち、シャキシャキとした食感が楽しめるのが特徴です。

収穫された後その大半は保存がきく干し菊へと加工され、その美味しさと美しさを1年中楽しむことが出来ます。

南部藩主が京都九条家の庭に芳香美麗に咲いている阿房宮を株分けし、藩内に植え付けさせたのが始まりで、藩政時代に観賞用菊「黄金株」の実生から生まれたと言われています。

紀元前212年、秦の始皇帝が長安北西の阿房村に建立した広大な宮殿の名称に由来し、菊が中国から渡ってきたことからその名がつけられました。

味噌汁に放したり、なますに加えたり、彩りとして使用するのがおすすめです。



■全国における岩手の農業


岩手県の土地利用は10%が耕地で林野がおよそ77%と森林がその大部分を締めます。


岩手県は様々な生産物の量が全国で上位に入っていますが、

ここでは岩手県で一番生産されているものについて紹介していきたいと思います。


・ホップ


岩手県で生産されるホップは、遠野市、軽米町を中心とした岩手県北、奥州市・北上市、紫波町・花巻市、盛岡市玉山区と県内全域に広がっています。

岩手県がホップの栽培に取り組み始めたのは昭和31年、江刺区での栽培が契機でした。

昭和37年に江刺区が宝酒造と契約栽培を行い、その後他地域でも契約栽培がスタートしました。

軽米町を中心とした県北ではサッポロビールと、玉山村はアサヒビールと、紫波町はサントリーと契約を行いました。

昭和38年に遠野市がキリンビールと契約を行い、大手4社全ての岩手県の生産者が契約栽培を行う事となりました。


宝酒造と栽培契約を行っていた江刺区も昭和40年にキリンビールとの契約に変更しています。





現在岩手県の中で一番の生産量を誇る遠野市ですが、キリンビールは遠野産を前面に押し出した
とれたてホップ一番搾りを毎年販売しています。

こちらを楽しみにする方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。


岩手県の農業は、乾杯の時間を支えていると言えるでしょう。


・りんどう




岩手県八幡平市安代は、りんどうの大産地として知られています。

もともと山野に自生していた花を改良して、現在の形になっています。

安代でオリジナル品種の作付が始まったのが1955年代後半、
不安定な稲作に代わる作物として積極的に生産されるようになったのが1965年代後半でした。



もともとは青紫色の仏花として普及していましたが、現在では品種改良が進み、
ブルーやピンク、ホワイト、グリーンなど様々な色合いのりんどうがあります。

恋紅と名付けられたこちらのりんどうはニュージーランドで生まれた品種です。

全く気候の違う地域ですが、同じように美しい色を見せてくれますね。

近年、りんどうは花束や鉢物としても人気があります。


・畑わさび


岩手県で全国の50%が生産されている畑わさび。

その中で岩泉町が生産のほとんどを占めています。


畑わさびは、根をすりおろして使うだけでなく、花や茎まで余すところなく使用されます。

斜面でも栽培できるので、林野が77%を占める岩手県にはぴったりの生産物と言えます。

豊かな自然の中、綺麗な空気と澄んだ水で畑わさびは育てられます。





■まとめ


岩手県は豊かな自然に溢れる地域です。


そこに伝わる野菜もそれぞれ個性を持ちます。

これからも伝統の野菜を守りつつ、豊かな食のためにたくさんの生産物を提供できる
地域であれるために、私たち消費者が積極的に商品の魅力を知り、消費していくことが大切ですね。

購入して、食す。

普通に行われていることですが、それが生産者さんを支える方法なのだと思います。